研究分担者 |
久田 真 東北大学, 工学研究科, 教授 (80238295)
柳澤 和道 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (90145110)
京谷 孝史 東北大学, 工学研究科, 教授 (00186347)
寺田 賢二郎 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40282678)
皆川 浩 東北大学, 工学研究科, 助教 (10431537)
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研究概要 |
本研究は,岩石やコンクリート等の多鉱材料が受けた力の大きさを材料が弾性回復した後に読み取る方法を確立することにある.これは断層が有した過去の地震エネルギーの大きさの推定や,コンクリート構造物が受けたダメージの大きさを応力イベント後に評価することを可能とするものである.カルサイト結晶は受けた力に応じて結晶内部の双晶変形が増加することで知られている.これをマイクロ応力計とすることで断層やコンクリート建築物への応用を目指す.ただし天然のカルサイトは不純物を多く含み,かつ過去の履歴を有しているので人工のカルサイト粒子を水熱合成する.また合成カルサイトの単結晶試験およびカルサイトを含む人工岩石(コンクリート)の実証試験を行う.そして個々のカルサイト結晶と材料全体にかかる力の関係を数値モデルによってシミュレーションし,力学試験と比較する. 昨年度は,応力計として実用化するための砂状サイズのカルサイト結晶の水熱合成に成功した.これまでセンチもしくはナノメートルオーダーの結晶は合成されてきたがミリメートルオーダーの結晶合成は初めての成果であり特許を申請した.この砂状カルサイトを固結させた粒状体の一軸圧縮試験を行い,載荷量に応じて双晶変形が増加することを確かめた.また双晶変形の力学挙動を確かめるために,結晶構造に基づく計算モデルの検討と大型単結晶を用いた変形試験を実施した.その結果,結晶サイズに対して変形量が小さい場合には,弾性回復に伴って双晶変形が消失する場合があり,試料サイズに対して十分に小さい結晶を用いる方がよいことがわかった.
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