研究課題/領域番号 |
22340156
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
田中 裕一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (50357456)
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研究分担者 |
柳沢 幸夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (10358210)
桑田 晃 独立行政法人水産総合研究センター, 東北区水産研究所, 主任研究員 (40371794)
白岩 善博 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40126420)
萩野 恭子 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 非常勤研究員 (90374206)
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キーワード | 円石藻 / 珪藻 / 培養実験 / 生物進化 / 古環境 |
研究概要 |
珪藻の春季ブルーム形成を想定し、冬季・春季・夏季へと急激に変化する光・温度環境に対する春季ブルーム珪藻種Thalassiosira属Chaetoceros属の増殖応答を解析した。その結果、珪藻類は低温・弱光下でも高い増殖速度を示し、高温では増殖不能であった。このことより冬季から春季にかけて成層化が開始すると素早く増殖を開始し、春季から夏季へと水温が増殖すると増殖を停止し,ブルームが終息することが示唆された。また、年間を通して形態変化が見られる珪藻種N.seminaeの様々な時期の培養株を現場より単離した。また、円石藻Emilianina huxleyiの培養株の水温や塩分濃度の嗜好性を調べるための培養実験を行った。その結果、至適水温や至適塩分濃度は培養株によって異なっており、それぞれ培養株の産地の水温・塩分環境に近い培養環境で、各株の成長がより良くなることが明かになった。この結果は、E.huxleyiと珪藻の成長戦略の違いを培養実験に基づいで検証する際には、似た水温・塩分嗜好性を持つ株を用いて比較する必要があることを示唆している。さらに、円石藻と珪藻のブルーム形成種の生理本性解析のために、以下の2点を実施した。(1)円石藻と珪藻の培養特性を調べるため、それぞれの株を国立環境研NBRPカルチャーコレクションおよび共同研究者から入手し、培養を実施中である。(2)円石藻と珪藻の混合培養を実施する前段階として、半透膜で仕切った培養容器を開発した。これによって、2種の植物プランクトンの増殖過程における栄養塩、分泌化合物の相手方藻類に対する影響を調べることが可能な実験系を構築できた。 また、珪藻と円石藻の進化過程における戦略を解析するために、下北半島沖の深海底コア試料について4000年間隔の試料について、ブルーム形成種の出現層準の解析を行っている。
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