1.当研究室のSetaram社製高温微少熱量計に同社の最新の制御・解析システム(CSEvo)を取り付け、熱量計の制御とデータ取得・解析の予備実験を行った。またμgの精度で試料質量を測定できるミクロ天秤(メトラー・トレド社製)を購入し、すべての熱測定試料の秤量に用いた。 2.Mg_<14>Si_5O_<24>組成の高圧相anhydrous phase Bを高圧合成し、Mg_2SiO_4オリビン+MgOからの転移エンタルピーを上記の熱量計システムで測定した。 3.当研究室の高温高圧実験装置に高硬度超硬合金アンビルを組み込み、マルチセル法を用いてMg_2SiO_4、MgSiO_3、パイロライトの詳細な相関係を22-28GPa、1400-1800℃で決定した。その結果、パイロライトのポストスピネル転移の圧力はMg_2SiO_4より約0.5GPa低く、転移境界線の勾配も約半分であることが明らかになった。このことは、従来から行われていたMg_2SiO_4のポストスピネル転移境界線の勾配を660km不連続面にそのまま適用することは有効でないことを示す重要な結果である。 4.SiO_2スティショバイトの低温熱容量を測定し、298Kの標準エントロピーを24.0J/molKと決定した。 5.NaNiF_3ペロブスカイトの高圧実験より、この相が約17GPaでポストペロブスカイト相に転移することを明らかにした。 6.研究代表者らが先に見出した、CaRhO_3ペロブスカイトとポストペロブスカイト相の中間相の構造解析を行い、この相がポストペロブスカイト構造に類似しているが、明らかに異なる構造であることを示した。
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