研究課題
1.マルチセル法による精密な高圧実験により、Mg_2SiO_4ポストスピネル転移に及ぼす少量成分(Fe^<2+>、Fe^<3+>、Al^<3+>)の効果を25GPa、1800℃まで調べ、Fe^<2+>は僅かに転移圧力を上昇させ、逆にFe^<3+>、Al^<3+>は下げることを明らかにした。2.Dscを用いてMg_2siO_4スピネルの熱容量を810Kまで測定し、熱容量が文献値より約5%系統的に高いことを明らかにした。その測定値に基づき格子振動モデルにより熱容量を0Kから計算し、エントロピーを求めた。3.Mg_<14>Si_5O_<24> anhydrous phase Bに関する高圧相関係を20GPa、1800℃までの高圧実験で決定し、同時に熱容量と熱膨張率を測定した。これらの結果に昨年度測定した転移エンタルピーを組み合わせ、熱力学計算により相平衡関係を計算し、高圧実験の結果を精密化した。4.NaNiF_3のペロブスカイト-ポストペロブスカイト転移の高圧相関係を詳細に決定し、ベロブスカイト、ポストペロブスカイト両相の構造を精密決定した。両相の熱容量、磁化率等の物性を測定した。5.Fe^<2+>を含むケイ酸塩高圧相の酸化カロリメトリー法を開発し、Fe_2SiO_4のオリビン-スピネル転移、ポストスピネル転移のエンタルピーを測定し、相境界線を熱力学計算で決定した。6.TiO_2-ZrO_2系の高圧相関係を調べ、αPbO_2型固溶体の安定領域を決定した。7.大陸地殻物質の高圧実験を行い、24GPa以上での相関係を明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
マルチセル法による精密な高圧実験、マグネシウムケイ酸塩高圧相の高精度の熱測定による熱力学データと相平衡関係の計算、および新規ポストペロブスカイト相の相関係と物性測定に関して、当初の計画の成果を挙げた。それに加えて、TiO_2-ZrO_2系と大陸地殻物質に精密な高圧実験技術を適用し、更なる成果を挙げている。
今後、高圧高温実験の圧力温度範囲の拡大を図りながら、当初の計画に従って研究を推進すると共に、ケイ酸塩からそのアナログ物質まで対象物質の範囲を広げることによって成果を得る。
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