1.微量元素に富むレルゾライト質シャーゴッタイトRBT 04261に含まれるバデレアイトについて、岩石鉱物学的な記載をおこない、この鉱物がシャーゴッタイトマグマの結晶分化により晶出したもので、衝撃変成作用により二次的に生成したものではないことを示した。さらに、二次イオン質量分析計を用いてこのバデレアイトのウラン-トリウム-鉛同位体分析をおこなった。得られたウラン、鉛同位体データをコンコーディア図にプロットしたところ、バデレアイトは放射起源鉛を失っていないことがわかり、RBT 04261シャーゴッタイトの結晶化年代は2億年と結論された。このことから、シャーゴッタイトの放射起源鉛に乏しい鉱物、斜長石の鉛-鉛年代に基づいて提唱されていた41億年という年代は、シャーゴッタイトの結晶化年代ではないこと、火星地殻での火成活動は最近2億年まで継続していたことをあきらかにした。 2.神奈川県立博物館から配分を受けた微量元素に富むシャーゴッタイトZagamiについて、詳細な岩石鉱物学記載をおこない、従来報告されていたものよりもさらに分化した岩相の存在をあきらかにした。後期に結晶化した鉱物および注入された化学組成の異なるマグマに起因するメルトの化学組成を考慮したうえで、Zagamiマグマの結晶分化過程および衝撃変成過程について議論した。さらに、ルビジウム-ストロンチウムおよびアルゴン-アルゴン同位体分析に用いる試料の選定をおこなった。
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