本年度は、2次元および3次元粒子コードを用いた乱流磁気リコネクションの電磁粒子シミュレーションを行った。リコネクションによって作られた沢山の磁気島の間を荷電粒子がランダムに散乱されることで加速されるフェルミ過程について調べた。従来の予想とは異なり、加速時間がアルフベン速度と光速の比の1次オーダーの加速過程であることが分かってきた。 具体的に行った計算は、(1)乱流リコネクションの非線形過程を調べるために、初期条件として8枚の電流シートが存在する系をとり、その時間発展を調べた。まず線形段階ではそれぞれの電流シートから沢山の磁気島が形成され、そして非線形段階では、それらの磁気島が電流層を超えて合体しながら乱流状態へと変化する乱流リコネクションの計算に成功した。そしてその非線形発展に伴い、全体の数パーセント程度の粒子がプラズマシートの熱エネルギーの10倍以上に加速されることを確認した。(2)次に非熱的粒子の加速効率について考察した。荷電粒子が磁気島と相互作用するときは、リコネクションのX点への流入領域ではなく、X点から噴き出すジェット領域であることを見出した。この選択的散乱課程が加速効率の向上に貢献していることを突き止めた。またエネルギースペクトルについても調べたが、高エネルギー側のスペクトルは予測した冪型分布ではなく、2温度のマックスウェル分布に近いものが得られた。粒子数が少ないためエネルギー空間の分解能がよくないことも考えられるので、粒子数を増やした計算を試みながら、加速効率の考察を行った。
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