本年度はまず混合クラスター生成源の開発に力を注ぎ、サイズ100程度のクラスターが安定に生成するクラスター源を高圧ノズルと電子衝撃イオン化の組み合わせにより構築した。また、これと平行して、大サイズを考える上で基本となる小サイズ混合クラスターについて赤外分光計測を行うと共に海外共同研究者と理論的考察を行い、水/メタノールの相対濃度の変化により、水素結合強度に明瞭な反協同効果が発現することを見いだした。これは水素結合の反協同効果をクラスターで検証した初めての例である。また、非常に異性体数が多い混合クラスターのスペクトルを解析するために、複数のクラスター構造の寄与を熱力学的重み付けにより取り込んでスペクトルのシミュレーションを行うHarmonic Superposition Approximation(HAS)法を小サイズ混合クラスターに適用し、実測スペクトルを定性的に再現出来ることを確認した。
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