研究課題
白金やロジウムは、自動車の排気ガス中に含まれる窒素酸化物、炭化水素、COなどを除去する触媒の素材として欠かせない貴金属である。しかし、極めて希少かつ高価であるため、使用量の削減や異種金属を用いた代替元素による触媒開発が急務である。そこで我々は、新しい反応性が期待されるクラスターについて、複数の元素で様々な組成の物質を合成し、その反応性を検証することを目指している。今回はその前段階としてロジウム単一組成の中性クラスターに焦点を絞り、N2Oガス反応の温度依存性、N2OにCOを混合したガスの反応調べることで、クラスター表面に付着した原子の脱離過程の検証を行った。Rhクラスターは、N2Oと反応して、酸素が付着したクラスターを生成した。3750ppmのN2Oガスを反応させた場合、いずれのサイズのクラスターに対しても同程度の個数の酸素原子が付着した。また、N2O濃度の増加に伴い、付着する酸素原子数が徐々に増加し、N2O10000ppmで飽和状態となる。濃度依存性から、個々のクラスターのN2Oとの反応速度を求めた結果、反応速度にはサイズ依存性があり、このサイズ依存性は、電荷を持つクラスターと同様の傾向を示すことが分かった。N2O 8750ppmに対して、段階的にCOガスを混合した。COを混ぜない場合、電荷を持つカチオンと電荷を持たない中性のクラスターは、N2Oとの反応では、付着の傾向はサイズにより異なるが、おおむねどのサイズにおいても共に酸素原子が最大6個付着することが分かった。COを微量加えた混合ガスの場合は、付着している酸素原子数がカチオン、中性ともに減少する。また、ロジウムクラスターとCOガスとの反応の実験では、およそ300ppm以上の濃度にしなければ、COの付着が確認できず、微量のCOではクラスターへの付着が見られない。従って、クラスター表面に付着する複数の酸素原子が、CO分子と反応してCO2分子を生成していると考えられる。また250ppmのCOを混合した場合は、酸素付きクラスターが減少するのではなく、親クラスターと共にCOが付着し、RhmCO,RhmOCO,RhmO2COが観察された。今後、高温での実験を試みることで、脱離するのかを検討する予定である。
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