研究課題
酸素を含むヘリウムのキャリアガス中で、ニッケルをレーザー蒸発することによりニッケル酸化物クラスターを合成した。ニッケル酸化物クラスターとしては、ニッケルと酸素の割合が1:1のものが主に生成し、生成後、延長管の中で加熱をしてもその組成はほとんど変わらなかった。ニッケル酸化物クラスターとCOとの反応では、もっぱらCOがクラスターに対して付着したものが生成した。これらCOは、延長管を加熱することで気相中に脱離した。このことから、COはクラスターに弱く付着していることが分かった。一般の質量分析法では、COが弱く付着したのか、強く結合をつくっているのかを区別できない。しかし、本研究で用いた加熱法を併用すれば、結合の様式に関する情報がわかり、クラスターと分子の反応を解明するとても有用な方法であると言える。一方、ニッケル酸化物6量体を代表例として、いくつかのクラスターでCO酸化反応Ni6O6+ + CO → Ni6O5+ + CO2 が観測された。これらの反応速度定数は、付着反応に比べて一桁程度低いことが分かった。一方、酸素を含むヘリウムのキャリアガス中で、銅をレーザー蒸発することにより銅酸化物クラスターを合成した。銅酸化物クラスターとしては、銅と酸素の割合が3:2から1:1の間のものが主に生成するが、延長管の中で加熱をすると組成が3:2程度のものに収斂することが分かった。銅原子は、+1価あるいは+2価の原子価をとることが知られている。バルクで、CuOあるいはCu2Oの組成となるが、クラスターを加熱することと、+1価と+2価の混合原子価状態となることが分かった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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“Nanoalloy” edited by Florent Calvo, Elsevier,
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http://maildbs.c.u-tokyo.ac.jp/~mafune/