研究概要 |
金属クラスター、金属酸化物クラスターおよびそれらの複合体とN2O,COなどの小分子との反応性を、実験・理論の両面から明らかにした。中性のロジウムクラスターは、N2Oから酸素原子を受け取る酸素移行反応を示す。この反応は繰り返し進行し、その結果として複数の酸素原子が付加したロジウム酸化物クラスターが生成する。一方COがごく微量に存在する条件では、COがロジウム酸化物から酸素を奪う反応が進行するが、この反応の反応速度定数は、より多くの酸素分子がロジウムクラスターに付着しているときの方が値が大きい。つまり、ロジウムクラスターによるN2Oの還元・CO酸化反応の触媒活性は、酸化されていないロジウムクラスターよりも、多少酸化されている状態の方がより高いことが期待される。一方、ニッケルのような遷移金属の酸化物とCOとの反応では、そのサイズ、組成によってCOとは異なる反応を示す。特に、COが物理吸着する場合と化学吸着する場合、さらに酸化物を形成して、酸化物から酸素がはぎとられる場合がある。これまで、物理吸着と化学吸着を区別することは困難であったが、本研究では、反応後の後加熱によって実験的に区別することに成功した。
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