研究概要 |
本研究では、高温固体電気化学反応機構の解明と学理の確立を目的とし、格子間酸素を含むLn_<2-x>Sr_xNiO_4はおよび酸素欠陥を含むLa_<1-x>Sr_xCoO_3等の3d遷移金属を含むペロブスカイト類縁構造酸化物を電極材料として取り上げた。 K_2NiF_4構造をもつLn_<2-x>Sr_xNiO_4について、XAS測定から得られたEXAFS振動にフィッティングを行うことで、吸収原子-散乱原子間距離、Debye-Waller(DW)因子といった情報を得た。DW因子の増加は局所歪みの増加に対応する。Ni K-edge EXAFSのフィッティングから得られたLn_2NiO_<4+δ>(Ln=La,Nd)の第一近接(Ni-O)のDw因子より、いずれの酸素分圧においてもNi-OのDw因子はNd_2NiO_<4+δ>の方がより大きい値を示すことがわかった。第二近接のNi-Ln(Ln=La,Nd)、第三近接のNi-Niにおいても同様の結果が得られた。以上より、いずれの近接原子においても、Nd_2NiO_<4+δ>の方がLa_2NiO_<4+δ>よりDW因子が大きいことが分かった。DW因子の増加は局所歪みの増加に対応するため、Nd_2NiO_<4+δ>の方がLa_2NiO_<4+δ>よりも大きな局所歪みをもつことが分かった。1073Kにおいて導電率緩和法の結果から得られた表面反応係数より、いずれの酸素分圧においてもLa_2NiO_<4+δ>の方が高い値を示すことが分かった。この結果の一因として酸素表面交換反応が前述の局所歪みと強く相関していることが考えられる。さらに、La_2NiO_<4+δ>の表面反応係数が大きいということはLa_2NiO_<4+δ>の方が高い電極特性を示すということにも対応していると考えられ、電極特性に関する知見を得る上で表面反応係数、ならびに局所構造の理解が重要な要素であることが明らかとなった。
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