研究課題/領域番号 |
22350009
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宗像 利明 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20150873)
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研究分担者 |
加藤 浩之 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80300862)
山田 剛司 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90432468)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 角度分解2光子光電子分光 / 顕微2光子光電子分光 / 非占有準位 / 有機薄膜 / 有機半導体 / STM / LEED |
研究概要 |
有機薄膜の非占有準位に励起された電子の分散と、時間発展を2光子光電子(2PPE)分光法で測定した。特に、グラファイト上のルブレン薄膜では、励起光波長により、最低非占有分子軌道(LUMO)由来の準位に励起された電子のエネルギーが励起光エネルギーで変化することを見出し、時間分解測定と合わせて光励起後の電子と空孔のダイナミクスを明らかにした。光励起時には電子がLUMOに入り、占有準位に空孔ができるが、空孔のできる準位は励起波長によって変化し、LUMOの電子のエネルギーに変化を与える。励起後の時間経過により、空孔が最高占有準位(HOMO)に緩和し、また、HOMO空孔が埋められて負イオンに近い状態に緩和する現象を捉えた。空孔の散乱過程を捉えたことは有機薄膜での電荷ダイナミクスを解明する重要なステップであり、有機薄膜の機能性の理解を進めることができた。また、有機薄膜では分子集合状態が電子状態に大きな影響を与え、電気伝導性など巨視的物性にも大きな影響が表れる。グラファイト上の鉛フタロシアニン(PbPc)薄膜を対象として非占有準位に対する分子配置の影響を明らかにした。PbPcの一層以下の膜の室温での2PPE分光では、鏡像準位(IPS)と呼ばれる非占有表面準位由来のピークが高エネルギー側に顕著な広がりを見せた。その膜を低温(90 K)にすると、幅の広がりが解消された。一方、走査トンネル顕微鏡(STM)観測をすると、室温では分子像は見えず、低温では規則格子を持つ島が観測された。2PPE、STMともに変化は可逆的であった。この現象は表面の2次元自由電子が分子に散乱されるモデルで定量的に理解することができた。さらに、角度分解2PPEでIPSの分散を測定した結果もモデルで再現できた。表面構造と電子状態の相関を理解する重要な足がかりである。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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