研究概要 |
・面不斉発現の構造必要要件の解明と立体化学的安定性の制御:多様なヘテロ中員環分子の合成に対応しうる汎用性の高い合成法を開発し,それを駆使してヘテロ環分子の環員数,環構成元素を種々変化させた分子を合成するとともに面不斉挙動を評価した.これにより,面不斉現象に関する系統的な知見を得ることに成功した ・面不斉ヘテロ環分子の不斉合成法の開発:面不斉ヘテロ環分子をエナンチオ選択的に不斉合成することに初めて成功した.具体的には,アキラルな環化前駆体に対してキラルなアルコキシドを作用させるという手法を開発した.これにより,環化反応を高立体選択的に行い,面不斉アミン類を高い光学純度で合成する事に成功した ・面不斉白金錯体の創製と合成的利用:(E,Z)-ジアリルアミン系面不斉分子1にPtCl_2(2,4,6-trimethylpyridine)-(η^2-ethylene)錯体を作用させると,白金がE-オレフィンに配位した面不斉白金錯体2が選択的に得られることを見出した.また,この錯体形成により,従来法では困難であった1のZ-オレフィン部位を選択的に官能基変換することにも成功した ・面不斉カルボニル化合物の創製と立体化学挙動に関する研究:環状ケトン(E)-5-cyclononen-1-oneが動的面不斉を有することを,またこれをエノールエステルに誘導すると立体化学的に安定な面不斉分子となることを見出した.さらに光学活性なエノールエステルの調製とその立体特異的変換反応の開発にも成功した
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