研究課題/領域番号 |
22350034
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塚原 聡 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50207338)
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研究分担者 |
藤原 照文 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80127703)
岡本 泰明 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40213988)
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キーワード | 液液界面 / 遷移金属錯体 / in situ顕微分光計測 / 極微吸光量 / 配向性 |
研究概要 |
本研究では,溶媒抽出に用いられたり生理活性を示したりする金属錯体が液液界面に単分子層レベルで存在する場合,それらが示す極めてわずかな光吸収量を,光学権顕微鏡,光源,モノクロメーター,超低ノイズCCDカメラ等を用いて,極限的に顕微分光計測し,極微小な吸光度と吸光スペクトルを取得することを目的としている。その計測によって,金属錯体の界面濃度や界面における存在状態を評価し,機能性について考察する。 当該年度は,原生動物(単細胞生物)であるミドリゾウリムシとミドリムシに注目し,それらの一つ一つの細胞を実試料として,その細胞内に存在する小器官である共生藻や葉緑体の吸収スペクトルを測ることを目標とした。 まず,これらの単細胞生物は,動物細胞であるため,適切な濃度の硫酸ニッケルを加えて,生きたまま運動を止めた。次に,上記のシステムを用いて,顕微鏡下,単色光を単一細胞に照射し,CCDカメラで画像を15枚積算して取得した。小器官が存在している部分と,存在していない部分の光の強度の比から吸光度を算出した。また,波長を走引することで,吸収スペクトルを取得した。 その結果,波長680 nmに強い吸収を示すことがわかった。これは,金属錯体であるクロロフィルに由来するものであり,またその吸収スペクトルから,クロロフィルaとbの濃度や存在比率も求めることができた。さらに,他の波長に吸収を示す色素の存在も確認することが可能であった。 このように,開発した顕微鏡下で,極微な光吸収量を測定することが可能な本システムは,実際の生体試料である原生動物に対しても適用可能であることが確かめられ,多くの応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
すでに承認されているが,本研究は繰り越しを行っている。その理由は,生物体試料への応用実験に使用する有色のミドリゾウリムシ,ミドリムシの培養が想定外にうまく進まなかったため,である。承認後,この培養がなんとか進んだため,平成24年10月31日に,完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究には,上記のミドリゾウリムシ,ミドリムシは用いずに,液液界面に生成した遷移金属錯体の会合体を試料に用いて,より高感度な新規なin situ顕微分光測定法を開発する予定である。これは,計画通り進行すると予想している。
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