研究課題/領域番号 |
22350040
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
荒川 隆一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (00127177)
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研究分担者 |
川崎 英也 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (50322285)
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キーワード | 表面支援レーザー脱離イオン化法 / 白金ナノフラワー / 白金粒子担持シリコン基板 / SALDI-MS / 置換メッキ法 |
研究概要 |
本研究の目的は、環境中の低分子量の汚染物質、医薬品、食品・工業材料の添加剤を簡便にハイスループット質量分析(MS)するための新しい「大気圧」表面支援レーザー脱離イオン化法(AP-SALDI)を開発することである。自己組織化・自己集積を利用して新規な大気圧用のイオン化支援表面構造体であるシングルナノ粒子集積体の創製とそれら固体表面の物理および化学的構造の制御を行った。置換メッキ法によりシリコン基板上に白金ナノ粒子を自己成長させた基板をSALDI基板へと応用した。スクラッチ処理したシリコン基板を用いることで、ナノサイズの突起形状を有する白金ナノフラワー構造体がシリコン基板上に成長するのを初めて見出した。この白金ナノフラワーの突起形状とシリコン基板との複合効果で、従来のSALDI基板と比べて、感度やソフトイオン化など点において極めて高い性能を発揮することが明らかになった。シリコンなどの半導体基板を用いたSALDI質量分析法は、半導体基板が紫外レーザー光を吸収し、そのエネルギーを使って試料を壊さないでレーザー脱離イオン化し、それを質量分析で同定する手法である。しかし、SALDI-MSでは酸を過剰に添加しても、高感度検出できるプロトン付加分子を生成しにくいという課題があった。ところが、シリコン基板に白金粒子を担持することで、SALDI-MSにおいてプロトン付加分子の生成が促進されることを見出した。このプロトン付加分子の生成の促進は、白金粒子担持シリコン基板で起こるレーザー誘起による電荷分離現象が関与するという新しいメカニズムを提案することができた。
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