研究代表者が2002年に発表した「カルボン酸無水物を脱水剤に用いる縮合反応」を不斉合成反応へと展開し、ラセミ第2級アルコールの速度論的光学分割反応を開発した。この反応を用いて抗肥満薬テトラヒドロリプスタチン(THL)の高効率不斉全合成を達成した。さらに、これまで全く前例の無いラセミ2-アリールプロピオン酸の速度論的光学分割反応を見出し、(S)型のイブプロフェン(非ステロイド性抗炎症薬)をエナンチオ選択的に与える新手段を確立した。本合成法の開発により、従来使用されていた効果の低いラセミ体のイブプロフェンを純粋で活性の高い医薬品へと改良する技術が産業界に提供された。
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