研究概要 |
パリティー非保存説の妥当性を検証するため円二色分光法による測定解析を可能にする紫外・可視吸収発光性の高分子を用い、(1)弱中性電流に基づく左右のらせん構造の偏りが高分子系で検出可能であることを実証し、(2)微少な偏りからホモキラルならせん世界の 発生・増幅へのシナリオを描き、(3)らせん発生の要因解明・機構解明を目指す。希薄溶液・微粒子分散溶液・薄膜を主たる研究対象 とし、1.アキラル系→ホモキラル系、2. ラセミ系→ホモキラル系の構築を通じて、光学不活性な世界から光学活性な世界へ至るシナリオを描く。シグマ共役ポリシランとパイ共役高分子を用い、良溶媒・貧溶媒を最適化して左右どちらかの光学活性高分子を発生させ る。リモネンキラリティー転写法、円偏光キラリティー転写法により発生させたいくつかの光学活性π共役らせん高分子の発生に伴う 円偏光吸収特性, 旋光度分散および円偏光発光特性において左右の差異が認められた。その違いが、真にパリティー非保存にするのか 、高分子、キラル溶媒、アキラル溶媒、あるいは何らかの不純物に起因しているのか不明である。より単純化した系を用い て検討を行った。その結果、パリティー非保存説の妥当性を示唆するいくつかの結果を得た。
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