研究概要 |
脂質-水系:モノエライジン,モノバクシニンと水の系におけるラメラ相-等方性液体(IL)相転移について熱容量測定を行った.既に結果の得られていたモノオレイン系の結果と比較し,研究計画通り分子構造に注目した解析を進めている. サーモトロピック液晶-アルカン系:液晶相としてN相のみを発現しSmA相を発現しない7CBにn-ヘプタンを混合した系の相図をDSCと光学組織の観察により作成し,混合によって「見かけのアルキル鎖長」が8の近くでN相に加えてSmA相が誘起されることを見出した.小角X線回折で得られた回折パターンは純系(8CB)のものと顕著な差異は検出されずSmA相であることが確認された.誘起されたSmA相の層間隔が純系の鎖長依存性と同じであることから,nCBについては擬二成分描像が,構造まで含めて良く成り立つことが確認できた. CrE相:液晶に最も近い結晶性中間相であるCrE相を示すnTCB,nPAという2系列の化合物で,CrE相ではアルキル鎖が等方性液体同様,融けた状態にあることをDSCおよび赤外スペクトルを用いて明らかにした.このような乱れたアルキル鎖が存在する場合に,アルカンとの混和が及ぼす影響を調べるためにnTCBにアルカンを混和する実験を行った.液晶相こそ誘起されないものの,CrE相にアルカンが取り込まれた相を発現することが,DSCおよび光学組織観察からわかった.構造的な知見を得るべく研究を継続している.
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