研究概要 |
[テーマ1:水素結合に基づくヘテロカプセルの超分子ポリマーへの展開]ダンベル型ピリジルホストとダンベル型フェノールホストを1:1で混合すると、水素結合に基づくヘテロカプセルユニットへの分子自己集合により、超分子カプセルポリマーを生成することがわかった。また、本超分子カプセルポリマーのカプセルユニットにゲスト分子を包接させると、熱力学的安定性が向上することを定性的に見出した。今後は、本超分子カプセルポリマーの定量的解釈を深め、ゲスト分子の性質に応じた本超分子カプセルポリマーの熱力学的安定性、重合度、分子量分布の制御を精査する予定である。 [テーマ2:動的ホウ酸エステル結合キャビタンドカプセルのナノ保護容器としての展開]我々の開発した本カプセルが2,6-ジアセトキシ-9,10-ビス(4-ジデシルアミノフェニルエチニル)アントラセンおよびそのパイ共役拡張誘導体を定量的に包接すること、これらゲストは本カプセルへの包接により、光安定性が1.6~7.0倍向上すること、さらに、二光子吸収特性が1.7~2.1倍向上することを見出した。現在、論文投稿中である。 [テーマ3:動的ホウ酸エステル結合に基づくキラルなキャビタンドカプセル]前年度合成したラセミ体の2,3-ビス(カテコール)ブタン、即ち、1,2-ビス(カテコール)-1,2-ジメチルエタンを光学分割し、得られた光学活性1,2-ビス(カテコール)-1,2-ジメチルエタン(不斉リンカー)とテトラホウ酸キャビタンドから、動的ホウ酸エステル結合に基づくキラルなキャビタンドカプセルの構築に成功した。ラセミ体のビフェニルゲストを包接させたところ、僅かながら不斉分子認識包接に成功した(d.e. = 5%)。今後は、不斉リンカーの置換基をMeからEt, Pr, Bn等の順に大きくし、不斉分子認識におけるジアステレオ選択性(d.e.)の向上を目指す。
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