研究課題/領域番号 |
22350063
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
小島 秀子 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20304644)
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キーワード | 結晶工学 / 分子機械 / 分子性固体 / 分子モーター / マイクロマシン |
研究概要 |
光メカニカル結晶材料の構築について研究を行い、これまでアゾベンゼン、サリチリデンアニリン、フリルフルギドなどの代表的なフォトクロミック結晶のメカニカル機能を示すことを明らかにした。今年度は、サリチリデンアニリンの微小結晶を用いて光照射前後のX結晶構造解析を行った結果、出発物質と生成物のディスオーダー構造として解析され、光照射後は長軸方向の単位格子長さがわずかに伸びるために結晶は曲がるという、分子レベルでのメカニカル機能の発現機構を解明できた。また、サリチリデンアニリン類似化合物であるサリチリデンフェニルエチルアミンのキラルな結晶とラセミ体の結晶は、ミリメータ長さの棒状単結晶でも光照射により屈曲運動を示したため、これら結晶の力学的特性を測定した。その結果、キラル結晶よりもラセミ体結晶の方が、ヤング率、光屈曲による応力、仕事などの機械的特性が良く、また繰り返し屈曲の耐久性もあることから、光運動結晶材料として優れていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、アゾベンゼン、サリチリデンアニリン、フリルフルギド、スピロピランなど、代表的なフォトクロミック結晶は光メカニカル機能を有することを明らかにした。サリチリデンアニリン結晶の光照射前後のX線結晶構造解析に成功し、結晶中で反応生成物が生成して単位格子が少し変化するために結晶は曲がるという、分子レベルでのメカニカル機能の発現機構を解明した。また、これら結晶を運動材料として用いる場合に必要な機械的特性として、結晶のヤング率、光屈曲による応力、仕事などの力学的特性を測定し、評価した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで積み上げてきた結晶工学的手法を駆使して、複合系結晶について検討する。また、結晶に紫外光を照射すると、光熱効果により結晶の温度が上昇することがわかったため、赤外線サーモグラフィを用いて正確に温度を測定する予定である。
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