研究課題/領域番号 |
22350064
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島ノ江 憲剛 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (10274531)
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研究分担者 |
木田 徹也 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (70363421)
湯浅 雅賀 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (50404075)
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キーワード | ガスセンサ / 半導体 / 環境ガス / 設計 / ナノ粒子 / マイクロ素子 |
研究概要 |
本研究では、大気環境を計測可能な革新的なマイクロガスセンサを創製するために、半導体ガスセンサの超高感度化についての新規な設計法(ドーピング、粒子径、作動温度、マスキング、水蒸気処理など)を提案し、これを理論的かつ実験的に検証し、応用展開することを目的としている。 昨年度は次の結果を得た。(1)水蒸気処理を行った酸化スズセンサについて、酸素吸着種の理論解析と水素ガスに対する応答機構の検討し、O^-とO^<2->の競争吸着が存在することを見出した。また水素応答では、精製した水分子が酸化スズ表面に吸着し、電気抵抗を減少させるために見かけ上センサ感度が上昇することが明らかになった。(2)水熱処理を駆使し、Pdを微細に担持した酸化スズクラスターゾルの調製と環境汚染ガスであるトルエンの検知特性の検討し、ppbレベルのトルエンを検知できることを確認した。これは、レセプターの微細担持の効果とクラスターによるガス拡散効果の相乗効果によるものである。(3)(2)の結果を踏まえて、ラメラ状WO_3半導体へのPdナノ粒子担持を試み、そのトルエン検知特性を検討した。SnO2以外の酸化物半導体においても、微細担持とガス拡散性を制御すると高感度化が可能であることを確認した。(4)酸化スズ表面をFeイオンによりマスキングし、表面電荷密度を制御することにより、センサの高感度化を検討した。酸化スズ表面はHFにより数原子層がエッチング可能であり、Feイオンのマスキングにはエッチングプロセスが重要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
半導体ガスセンサの超高感度化についての新規な設計法として、理論の確立と実験的検証を行っているが、両者とも予定通り進展している。また、これまでの研究成果として、基調講演1件と招待講演5件を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の検討課題としては、上記マスキング効果以外に新たな方法として、比較的大きな粒子に対してドナー濃度を制御し、更なる高感度化を図ることが挙げられる。この点についても追加検討を行う予定である。
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