研究課題/領域番号 |
22350066
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岡田 惠次 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50152301)
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研究分担者 |
塩見 大輔 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40260799)
鈴木 修一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (80433291)
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キーワード | 開殻π電子系 / 高スピン分子 / ラジカルカチオン |
研究概要 |
「課題1.ラジカル置換ラジカルカチオン型磁性体の開発」、「課題2.新規強相関スピン系の開発」、および「課題3.ラジカルイオン対のスピン制御と高効率光エネルギー変換素子の開発」について検討を行い、以下のことを明らかにした。 課題1ではトリス(tert-チルニトロキシドトリオキシトリフェニルアミン(1)トリラジカルを合成し、それを酸化することによりラジカルカチオン体(1^+)が可逆的に生成することを明らかにし、そのものが分子内に大きな強磁性相互作用をもつモノカチオンジラジカル種であることを明らかにした。さらに、この系は、酸化・還元を外部刺激として、磁化率や吸収スペクトルが可逆的に変化する分子スイッチとして機能することを明らかにした(以下の雑誌論文1件目)。 課題2では、イミノニトロキシドをメチレン炭素一つで架橋したコンパクトなビス(イミノニトロキシド)を合成し、そのものの磁気的相互作用は二つのイミノニトロキシドの配向依存性を受けることを計算科学的に明らかにした。さらに、観測された配向と磁気的性質が良く対応していることを実験的に明らかにした(雑誌論文2件目)。 課題3と関係し、有機色素であるペリレンジイミド、BODIPY系をとり上げ、それらが関与する電子移動、系間交差、光電変換素子に関する研究を総説として纏めた(雑誌論文3件目)。またポルフィリン色素を階層的に集積化し、極めて高効率なポルフィリン光アンテナ分子を設計・合成した(雑誌論文4件目)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1、課題2については期待する化合物が合成できており、それらの磁気的性質を明らかにすることができている。課題3については期待する化合物の合成が少し遅れたため、論文として纏めることが遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
課題1に関して、平成23年度後半、トリオキシトリフェニルアミンのニトロニルニトロキシドラジカル置換体がテトラクロロガレート塩とテトラクロロフェレート塩で大きく磁気的性質が異なることを見出すことができた。平成24年度はそれらの磁気的性質を解明する。課題2では最近見出した強相関ジラジカルをスピン量子演算分野に応用するため、そのホスト分子を設計し、超伝導qubitと結合できるアンサンブルqubitの作成を計画している。課題3では、白金ポルフィリン、BODIPY系を有機色素部とする高効率電荷分離物質の合成を目指す。
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