研究課題
本研究課題「π電子開殻分子系のスピン状態制御による物性機能開発」では、次の三つの課題に同時並行的に取り組んでいる:1)ラジカル置換ラジカルカチオン型磁性体の開発、2)新規強相関スピン系の開発、3)ラジカルイオン対のスピン制御と高効率光エネルギー変換素子の開発。1)では、ニトロニルニトロキシド置換トリオキシトリフェニルアミンラジカルカチオンGaCl4塩(NNTOT-GaCl4)が2.6 Kで弱強磁性体に磁気相転移することを明らかにした(雑誌論文1)。また塩化鉄塩(NNTOT-FeCl4)を検討したところ、GaCl4塩と同じく弱強磁性体への磁気相転移を示した後、反強磁性体への磁気相転移が観測され、FeCl4塩は逐次相転移を示す珍しい磁性体であることを明らかにした(現在論文を作成中)。2)では安定ラジカル種が有機金属イオンに直結した新たな化学種を開発し、安定ラジカルの酸化電位が白金(I)に連結することにより、大きく(0.5 V 程度)酸化されやすくなることを実験的に見出した(雑誌論文2)。また、トリス(フェノチアジニル)ボランラジカルカチオン種を新たに合成し、ホウ素と窒素ラジカルカチオンから成るB-N結合の性質を、中性種と比較し検討した(雑誌論文3)。3)の課題では、フェノチアジンー白金アセチリドーナフタレンジイミドの三連結体を合成し、長寿命電荷分離素子を作成した(雑誌論文4)。また同様な白金系を用いて光電変換素子や太陽電池の作成を検討した(雑誌論文5)。さらに、重金属を用いない光電荷分離系としてフェノチアジンースペーサーアントラキノン系の三連津体を合成し、三重項の電荷分離状態が生成することを明らかにした(雑誌論文13(最後のもの、印刷中のChem Lett)。また、上記課題の基盤となる安定ラジカル種の開発(雑誌論文6-8)も行った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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