NO直接分解反応に活性を示す担持アルカリ土類酸化物触媒の活性点構造を明らかにするために、これまでに見出した酸化イットリウムにバリウムを担持した触媒(Ba-Y_2O_3)を共沈法により調製し、触媒の物理化学的特性とNO直接分解活性の相関性を検討した。まずBa担持量(0~15wt%)が異なるBa-Y_2O_3触媒のNO直接分解活性を評価した。その結果、Y_2O_3にBaを1wt%添加することによりNO分解活性は大きく向上し、Baが反応活性点として作用していることが明らかになった。さらにBa担持量を5wt%とすることでNO分解活性は大きく向上し、最も高いNO分解活性を示した。そこでNO分解反応の活性点構造に関する知見を得るために、XRDによりBa-Y_2O_3触媒の結晶構造を調べた。その結果、NO分解反応の飛躍的な向上が見られたBa担持量が5wt%以上では、高分散した炭酸バリウム(BaCO_3)の存在が明らかとなった。触媒反応は表面で進行することから、CO_2-TPDによりBa-Y_2O_3触媒表面の固体塩基特性を評価した。Y_2O_3にBaを添加することによりCO_2脱離量の増加およびCO_2脱離温度の高温側へのシフトが見られ、添加したBaが塩基サイトとして作用していることが明らかとなった。さらに高温域で脱離するBaに吸着したCO_2の脱離量とNO直接分解活性を比較したところ、いずれの場合もBa担持量が5wt%の触媒で最も高くなり、非常によい相関性が認められた。またNO直接分解活性と結晶構造の経時変化を調べた結果、反応時間とともに触媒活性は向上し、同時にBaCO_3が消失することが明らかとなった。以上の結果より、Y_2O_3表面に高分散したBaCO_3が分解することによって生成するBa種がNO直接分解反応のために触媒活性種であると推察した。
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