研究概要 |
本研究では、化学的アプローチを用いて、細胞内におけるヒトテロメアDNAとヒトテロメアRNAの構造・機能を明らかにすることによって、染色体構造の安定化、老化の調節、がん化などにおけるテロメアの分子作用機構を解明し、得られた基礎情報に基づいてテロメアをダーゲットとするがん標的治療の新手法の開発を目的としている。本年度は、化学的手法を用いてヒトテロメアRNA構造の解析およびテロメアDNA/RNAの分子構造・機能を解明することを効率的に進めた。その結果、ヒトテロメアRNAがmRNAと分子間RNA4重鎖構造を形成することにより遺伝子発現を調節することを発見した。(J.Am.Chem.Soc.133,19153,2011.)。さらにテロメアDNA4重鎖構造などによる操作するDNAナノマシンーンで生体分子などを検出することに成功した化学蛍光プローブを用いて、生細胞内のヒトテロメアRNAの構造を可視化することに成功した(Nature Communcations 2011 2:449 doi:10,1038/ncomms 1452)。また、これまでのテロメアDNAとRNAの研究結果を総説としてまとめた(Chem.Soc.Rev.2011,40,2719;Methods 2012,in press;Curr.Pharm.Des.2012,18,2096)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、化学的アプローチを用いて、細胞内におけるヒトテロメアDNAとヒトテロメアRNAの構造・機能を明らかにすることによって、染色体構造の安定化、老化の調節、がん化などにおけるテロメアの分子作用機構を解明し、得られた基礎情報に基づいてテロメアをダーゲットとするがん標的治療の新手法の開発を目的としている。 (1)ヒトテロメアDNAとRNAの構造・機能の解明については、NMR構造解析により、ヒトテロメアRNAがウラシル4分子体を形成する四重鎖構造を発見した(J. Am. Chem. Soc. 132, 7231, 2010)。この構造は新たな抗ガン剤開発のための治療ターゲットとなる可能性が期待されている。さらに化学蛍光プローブを用いて、生細胞内のヒトテロメアRNAの構造を可視化することに成功した(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 107, 14579, 2010)。またヒトテロメアRNAがmRNAと分子間RNA4重鎖構造を形成することにより遺伝子発現を調節することを発見した(J. Am. hem. Soc. 133, 19153, 2011.)。さらにテロメアDNA4重鎖構造などによる操作するDNAナノマシンーンで生体分子などを検出することに成功した化学蛍光プローブを用いて、生細胞内のヒトテロメアRNAの構造を可視化することに成功した(Nature Communcations 2011 2:449 doi:10,1038/ncomms 1452) (2)がん標的治療の新手法の開発については、光応答性DNAを用いて、光架橋により有効なテロメラーゼ阻害することによるガン細胞のみを選択的に死滅させる方法を開発した(J. Am. Chem. Soc. 132, 631, 2010)。また環状型ヘリセン小分子によるテロメラーゼ活性のエナンチオ選択的な阻害することに成功した(J. Am. Chem. Soc. 132, 7231, 2010.) (3)これまでのテロメアDNAとRNAの研究結果を総説としてまとめた(Chem.Soc.Rev.2011,40,2719;Methods 2012,in press;Curr.Pharm.Des.2012,18,2096)。
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