研究課題/領域番号 |
22350074
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大神田 淳子 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50233052)
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キーワード | たんぱく質-たんぱく質間相互作用 / 中分子 / プレニル転移酵素 / K-Ras4B / グアニジン含有阻害剤 / 構造活性相関 / 酵素阻害剤 |
研究概要 |
がん細胞中で高い確率で変異体が見出されるK-Rasは、翻訳後修飾を担うFTaseと過渡的たんぱく質相互作用を通して異常に活性化される。昨年度までに、FTaseの活性ポケットと酵素表面を同時認識するたんぱく質問相互作用阻害剤を設計し、K-Ras4Bペプチドのファルネシル化をnMレベルで阻害することに成功したが、細胞膜透過性が乏しいという課題があった。平成23年度は、化合物の細胞膜透過性と細胞内阻害活性を改善するために、グアニジル基を導入した誘導体を種々合成して、in vitroでの構造活性相関を明らかにすることを計画した。活性ポケット結合モジュールにはペプチドミメティクスFTI-249を、表面認識モジュールには、グアニジル基を導入した没食子酸誘導体を種々合成し、FTI-249と表面モジュールをアルキル鎖で連結して20種類の2座型阻害剤を得た。In vitro阻害活性評価を効率良く実施するために、遺伝子組換型酵素を大腸菌から取得して、これを用いた蛍光基質によるHigh-Throughputスクリーニング法を確立した。この方法により従来よりもアッセイに要する時間を大幅に短縮できた。構造活性相関を検討した結果、グアニジル基が3個持つ化合物は2個のものよりも活性が高く、2位置換の化合物は立体障害により活性が著しく低下するなど、芳香族環に導入したグアニジル基の位置と数に明らかな相関関係が認められた。また、グアニジル基はアミノ基よりも酵素阻害活性を5倍程度向上させるだけでなく、Ras変異由来膀胱がん細胞を用いた増殖抑制試験において、グアニジル基含有誘導体はアミノ基含有の化合物に比べて明らかに高い細胞増殖抑制効果を示すことを見出した。以上の結果は、グアニジル基の導入により中分子サイズの阻害剤の細胞活性を有意に改善できることを示している。次年度は細胞実験とWestern blotにより、細胞内FTase/GGTase-1阻害活性の評価に焦点を絞って検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グアニジル基をたんぱく質問相互作用阻害剤に導入することで、阻害剤の細胞透過性を改善し、細胞内FTase阻害活性を示す化合物を得ることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の構造活性相関の結果を踏まえ、今後は細胞をベースとした検討を中心に行い、細胞内FTaseとGGTase-IによるK-Rasプレニル化に対する阻害活性をWestern blot等の手法により評価する。まずは市販のT24細胞を用い、FTase阻害のマーカーとして知られ扱いが容易なHDJ-2たんぱく質のファルネシル化を評価し、実験手法を確立できたらRasの検討に移行する。
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