研究課題
たんぱく質間相互作用(protein-protein interactions; PPIs)は分化・増殖、細胞死、老化等多様な生体反応を司る情報伝達系において重要な働きを担っており、近年新薬の標的として広く注目されている。しかし、その作用面は浅く広いためにdrug-likeな低分子合成化合物を用いた創薬が極めて難しい。本研究では、PPIの広い作用面を認識して制御する、合成有機分子を基盤とする阻害剤を開発するため、それらの新規な設計手法として、モジュールアセンブリ法を検討した。対象となるたんぱく質表面を構造上の特徴に基づいて分割し、局所的な表面と相補的に結合する低分子モジュールを設計し、これらをスペーサーによる共有結合、金属錯体形成、標的たんぱく質表面上でのケミカルライゲーション反応、によって組み上げることにより、たんぱく質表面に対して複数の作用点を持つ集積体を導いた。平成24年度の主たる成果としては、活性ポケット認識モジュールのペプチドミメティクスとグアニジル含有表面認識モジュールを連結したアンカー型酵素阻害剤について、細胞活性試験を実施した。その結果、Ras変異由来膀胱がん細胞を用いた増殖抑制試験において、グアニジル基含有誘導体が、アミノ基含有の化合物に比べて有意に高い細胞増殖抑制効果を示すことを見出した。さらに、HDJ-2たんぱく質のファルネシル化に対する阻害活性をWestern blotで評価したところ、nMレベルの阻害活性を示すことが分かった。以上の結果から、グアニジルとペプチドミメティクスによる分子構造改変により、アンカー型PPI阻害剤の細胞透過性を大幅に改善することができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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