研究課題/領域番号 |
22350081
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
清水 正毅 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10272709)
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研究分担者 |
森末 光彦 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (40403357)
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キーワード | 発光材料 / 蛍光 / 固体蛍光 |
研究概要 |
まず、ビス(電子求引基置換フェニル)ビス(電子供与基置換フェニル)エテンの合成と物性評価に取り組んだ。ジフェニルアミノ基をドナーに用いて、アクセプターをシアノ基、ホルミル基、ジシアノエテニル基とするテトラアリールエテン誘導体を、それぞれE体、Z体に分けて合成した。合成したエテン誘導体は、いずれも200℃付近の融点を示し、熱安定性に優れていた。固体発光特性については、アクセプターの電子求引性を上げると粉末状態での発光量子収率は大きく低下することが判明した。その一方、これらの材料をPMMAフィルムに分散すると、シアノ化体やホルミル化体は効率良く緑色および黄色発光した。またジシアノエテニル体は、粉末状態では全く発光しなかったのに対し、フィルム中では赤色材料としては良好な発光効率で固体発光することがわかった。この結果は、これらのエテン誘導体がドーパント発光材料として有用である可能性を示している。 続いて、ジアミノテレフタル酸の合成と物性評価を行った。その結果、2,5-ビス(ジアリールアミノ)テレフタル酸ジメチルが、固体状態で効率よく緑色から黄色領域で蛍光発光することを明らかにした。また、このテレフタル酸ジメチルが緑色発光ドーパントとして知られるキナクリドンと類似の電子構造を形成していることに着目し、キナクリドンの平面破壊を新しい分子設計指針とする2,5-ジアミノ-1,4-ビス(アロイル)ベンゼンを合成し、発光特性を評価したところ、これらが橙色から赤色の固体蛍光を良好な発光効率で示すことを明らかにした。興味深いことに、これらの赤色発色団は、固体サンプルを調製する際の溶媒の留去速度や再結晶により、異なる光物性を発現することを見つけた。すなわち、モルフォロジーの違いにより発光色が変化するので、ピエゾクロミズムなどが期待できる新規発色団を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テトラアリールエテン誘導体が発光ドーパントとして有用である可能性を認め、またジアミノテレフタル酸ジエステルが固体発光材料の分子設計指針として有効であることも確かめることができ、研究は概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に成果が出ており、研究計画通りに研究を推進する予定である。
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