研究課題
1 発光トランジスタデバイスの高輝度化従来のp型有機半導体を用いた発光トランジスタは、駆動電圧が高く、発光効率が低いという難点があった。この課題を克服するために以下の方策を採用した:p型有機半導体結晶と電子注入電極との間にn型有機半導体薄膜を挿入して有機半導体結晶への電子注入効率および電子閉じ込め性能を高めた。この結果、従来のp型単層結晶からなるデバイスに比べて、約15倍の発光強度を示すことを確認した。このデバイスにおいて、研究代表者および研究分担者が独自に開発した交流ゲート電圧法が効果の高いことを併せて確認した。pおよびn型有機半導体として、チオフェン環とフェニレン(ベンゼン)環からなり(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーと称する複合オリゴマー(AC5およびAC5-CF3)を用いた。研究成果を材料系の一流誌に公表し、国内外から注目を集めている。2 回折格子を用いた発光トランジスタデバイスにおける狭線化発光既にナノインプリント法でフォトニック結晶ライクな2次元回折格子を形成したデバイス基板を発光トランジスタに用いることの有効性を確認している。今年度は、回折格子を形成する材料を改良してデバイス性能を向上させた。SU-8と呼ぶフォトレジストポリマーを用いてゲート絶縁膜の耐溶剤性を高め、液相における再結晶プロセスによって当該SU-8膜上にBP1T、BP2T等の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを積層し、デバイスとした。このデバイスのゲート電極に交流電圧(振幅:60~110 V、周波数:20 kHzの矩形波)を印加して、結晶種に応じた狭線化発光(半波高全幅値:3 nm)を観測した。電流注入有機レーザーの実現に向けて有力なデバイス構造およびその駆動法を提示できたところに本研究の意義と重要性がある。これらを通して研究の主要テーマである結晶エンジニアリングの有効性に訴求できた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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