研究課題/領域番号 |
22350086
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
木村 睦 信州大学, 繊維学部, 准教授 (60273075)
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研究分担者 |
森 正悟 信州大学, 繊維学部, 准教授 (10419418)
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キーワード | 色素増感太陽電池 / 亜鉛フタロシアニン錯体 / 酸化チタン / 光電変換 / 近赤外光 / 立体障害 / 置換基 / 電子移動過程 |
研究概要 |
本研究では、色素増感太陽電池で主に用いられているルテニウム錯体が吸収できない800-1000nmの近赤外領域を吸収し光エネルギー変換できる色素の開発を目的とし色素合成および色素増感太陽電池における光電変換機能について検討を行った。これまでの検討によって得られてきた色素設計指針を展開し、様々な側鎖を持つ両親媒性亜鉛フタロシアニン錯体を合成した。立体障害基の大きさの異なる亜鉛フタロシアニン錯体を合成したところ、側鎖の立体障害基の大きさが小さいものでは変換効率の大幅な低下が見られ、色素間の相互作用を抑制できる最適な立体障害基の大きさが得られた。さらに、色素構造、酸化チタン表面での吸着密度および変換効率との相関について検討を行った。色素増感太陽電池内での電解質との相互作用の変化を期待し、亜鉛フタロシアニン錯体の周辺にメトキシ基、アルキル鎖、およびトリフルオロメタン基を導入した新規な両親媒性色素を合成し、変換効率への周辺置換基の影響について調べた。周辺置換基によって変換効率が大きく異なることを見いだし、これらの色素群を用いた電子移動過程の詳細な追跡を開始した。両親媒性亜鉛フタロシアニン錯体を用いた色素増感太陽電池において、色素の分子環境構築によって高効率な光電変換効率を得られることを明らかとした。色素の会合・吸着密度・電解質との相互作用に関するこれらの成果は次年度以降の長波長色素設計に活用する。
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