研究概要 |
有機エレクトロニクス材料の分野で注目されている9,9'-スピロビフルオレン構造に着目し、その一つのベンゼン環を様々な複素環に置換した分子と二つのスピロフルオレン構造を有するラダー型化合物について合成並びにそれらの機能性に関する研究を行った。主な成果は下記の通りである。 (1) フラン含有スピロ化合物の合成法を確立し、続くパラジウム触媒によるC-H結合の直截的アリール化反応により種々のπ共役化合物を合成した。得られた化合物は強い蛍光発光を示し、フラン化合物としては極めて高い熱安定性を示すことを明らかにした。 (2) ピロール含有スピロフルオレン骨格の新規構築法として、パラジウム触媒による分子内ピロールの直截的C-H結合アリール化反応を開発し、得られたピロール含有スピロフルオレンを用いて剛直な構造を有する発光性BODIPY色素を合成した。さらに、これらの色素の発光のON/OFFが溶媒の極性により制御できることを実験および理論的側面から明らかにした。 (3) 電子供与性置換基を有するBODIPY色素の開発に成功し、特にアミノ基を有するものが近赤外領域の発光を示すことや、pH依存型の可逆的なスペクトル変化を示すことを明らかにした。 (4) 複素環縮環のラダー型ジスピロ化合物を合成し、分光学的測定や電気化学的測定、理論計算により各化合物の光物性を明らかにするとともに、スピロ共役の存在も明らかにした。
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