研究課題/領域番号 |
22350089
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岩本 正和 東京工業大学, フロンティア研究機構, 教授 (10108342)
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研究分担者 |
石谷 暖朗 東京工業大学, 資源化学研究所, 講師 (50302617)
秋山 勝宏 東京工業大学, 資源科学研究所, 助教 (10550569)
田中 大士 東京工業大学, 資源科学研究所, 助教 (00528002)
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キーワード | シリカメゾ多孔体 / 壁イオン交換 / リン酸イオン / バイオマスリファイナリー / セルロース / グルコース |
研究概要 |
本年度の研究ではまず、Al担持シリカメゾ多孔体、および金属非担持シリカメゾ多孔体の酸触媒特性について検討した。Al担持体ではメゾ細孔構造容積の増加が酸触媒活性向上に極めて重要であることを見出し、多孔体前駆体(まだ界面活性剤を含有しているメゾ構造体状態)を高濃度Al水溶液で処理すると高活性多孔体が調製できることを明らかにした。また、スチレン誘導体二量化に対する酸触媒特性は、含有Al量が一定であっても細孔径や焼成-水和過程で変化すること、これはそれらの処理により活性水酸基量が変化するためであることを明らかにした。29Si MAS-NMRの測定結果を考え合わせ、シリカ上の酸特性は規定空間内における集合水酸基に起因していると推論した。 一方、ジルコニウム-硫酸イオンメゾ構造体(ZS)の壁イオン交換法による水中リン酸イオン(P)の捕集、捕集したPの回収、ZSの再生利用についても大きな進展があった。Pイオン交換後のZSを各種の有機酸溶液および塩基溶液を用いて処理したところ、NaOH水溶液を用いた場合にPを効率的に回収できた。さらに、P回収後のZSを希硫酸で処理するとSをZS中に再導入できること、得られた再生ZSのP捕集能は母体ZSと同等あるいはそれを上回ることを明らかにした。 木質系バイオマスの有効利用法の開拓では、種々の貴金属塩化物を触媒として亜臨界水中でのセルロース水素化分解反応を検討した。貴金属系が優れた触媒活性を示すこと、中でもIr塩化物がアルコール類を選択的に生成することを見出した。これは、木質原料を直接有用化成品に転換する触媒プロセスが可能であることを初めて示すものである。さらに、木質系バイオマスの主要構成成分であるグルコースの水素化分解反応を温度および時間の関数として検討し、グルコースのフルクトースへの異性化、C-C結合開裂(4:2開裂および3:3開裂)、水素化を経てジオールが生成していることを結論した。
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