研究課題
パルスエネルギー、波長などの他の条件を同一に設定し、アルミノシリケートガラス内部に集光照射する超短パルス光のパルス間隔を変えて実験を行ったところ、パルス間隔が被加工物質の熱拡散に比べて十分に長い場合(1ミリ秒)、次パルスの到達までに熱は拡散し、蓄積されず、顕著な構造変化は観察されなかった。一方、パルス間隔を短く(4マイクロ秒)すると、熱蓄積の効果が顕著になり、温度分布に依存して元素が拡散した。さらに、偏光方向を水平および垂直方向に変化させた超短パルス光を石英ガラス内部に集光照射し、このようなパルス間隔による熱蓄積の効果の偏光依存を調査した。レーザー照射部には、構造変化による応力などに由来した位相差(リタデーション)が見られるため、偏光顕微鏡を使用して照射パルス数に対するリタデーションの変化を観察した。その結果、熱蓄積の効果響は、偏光方向にも依存し、特に熱蓄積の効果が小さい場合(パルス間隔が長い場合)に顕著であった。光弾性変調器と波形整形器との組み合わせによるパルス波形整形を検討したが、出射レーザー光に対する耐光性に問題があったため、音響光学フィルターを利用したパルス波形整形器を導入し、光学系を構築した。コンプレッサーの光軸調整が不十分な場合をはじめとして、使用されているグレーティングやプリズムなどの光学部品の平坦性などに由来した僅かな分散特性によって、空間的に周波数チャープすることにより生じたパルス先端の強度分布形状の歪み(パルスフロントチルト)と偏光方向の相互作用によって、同一のパルスエネルギーであっても、光のエネルギーが熱に変換される量が偏光方向によって異なることを示唆していると考えられた。このようなパルスフロントチルトと偏光方向の相互作用を利用することによって、石英ガラスに三次元(XYZ)に加えて偏光方向と位相差を記録できるため、5次元光メモリへの応用が期待できる。
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