研究課題
近年、自動車や種々の産業プロセスから排出される大気汚染物質による大気環境悪化は深刻であり、環境汚染物質を高感度、高選択的に検出可能な低コストで小型の高性能ガスセンサの開発が切望されている。そのため、本研究では、混成電位や電解電流などを応答信号とする固体電気化学式ガスセンサにおける最適な検知極材料および組成の探索、反応界面の微細構造や微細組成の設計、および作動条件の最適化を目指すものであり、本年度は以下のような成果を得た。種々の粒子径のナノAu粒子を検知極に用いた混成電位型ジルコニアセンサが、Au粒子径や検知極材料のモルフォロジの違いによって、応答特性が大きく変化することを見出した。また、Auナノ粒子を1 wt%添加したZnCr_2O_4を検知極(ZnCr_2O_4(+Au)-SE)に用いた素子では、CO及び炭化水素に対して高い感度を示した。そこで、本素子と炭化水素に対してのみ選択的な応答を示すことがわかっているZnCr_2O_4-SEを組み合わせた素子を作製して両極間の電位差を測定することで、プロパンに対する感度を相殺してCOに対して高感度かつ選択的な応答が得られることがわかった。一方、NiO検知極を用いた混成電位型ジルコニアセンサでは、他ガスの共存による影響をあまり受けずに、水蒸気存在下においても50 ppbという極低濃度のトルエンに対して、比較的良好な感度と選択性を示すことを見出した。また、本素子はトルエン以外のm-キシレンやベンゼンなどの他のVOCに対しても比較的高い感度を示した。本素子は市販の全炭化水素分析計と比較しても良好なVOC検知特性を示すことが分かった。また、さらなる低濃度VOCの検知を目指して、検出原理を考慮してNiO膜厚を変化させた時のガス検知特性への影響を評価したところ、膜厚を減少させることで、選択性はほとんど低下させずにトルエン感度を向上させることができた。
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