研究課題
本研究は、固体電気化学式ガスセンサにおける最適な検知極材料および組成の探索、反応界面の微細構造や微細組成の設計、作動条件の最適化を目指すものであり、本年度は以下のような成果を得た。1)YSZセンサの検知極層上に触媒層を積層した素子による水素選択性の改善を行った。触媒層にプロペン酸化能を有する酸化クロムを、また検知極層に酸化スズを用いた積層型素子を作製した。この際、酸化クロムの検知極層への侵入を防ぐために、触媒層と検知極層の間にアルミナ中間層を導入した。この素子の種々のガスに対する応答特性の評価を行ったところ、プロペン感度が大幅に減少し、水素に対して良好なガス選択性が得られることがわかった。2)新規に開発したMn系参照極の作動機構について検討を行った。Mn固溶YSZの電気伝導に対する活性化エネルギーは、Mn系参照極が酸素に対して不活性となる約575℃を境に変化することを見出した。これより、酸化マンガンを塗布したYSZを高温焼成することでMnイオンがYSZへ固溶し、格子定数、モルフォロジ、電子状態、電気伝導性に影響を及ぼしたと考えられる。そのため、約575℃以下の作動温度では、YSZ中でMnイオンの存在により隣接する酸素空孔が固定化され、酸素イオン活量が一定となるために、Mn系参照極は酸素および種々の排ガス成分に対して不活性であると考察した。3)YSZセンサの最適な検知極材料として、酸化亜鉛へ酸化タンタルを84wt%添加した場合に水素に対して最も高い感度が得られることがわかった。この素子を550℃で40日間保持すると水素感度が大幅に増加し、他ガスに対する感度は低下したため、非常に高い水素感度と選択性が得られた。感度は10-80 ppmの水素濃度範囲では直線関係が見られたが、100-400 ppmでは濃度の対数に対して感度が直線性を示した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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