研究課題
本研究では、モノマー滴下法を用いた2-ヒドロキシメチルオキセタン(1)のカチオン開環重合により新規なハイパーブランチポリエーテル(poly-1)を合成し、生成物の構造や粘度物性に与える影響について検討した。また、2-ヒドロキシ環状エーテル類の重合と生成物の粘度特性を比較するため、3員環のグリシドール(2)および5員環のテトラヒドロフリフリルアルコール(3)を用いたカチオン開環重合も検討した。さらに、無水糖である1,6-アンヒドロヘキソフラノース(4)を用いたカチオン開環重合も検討し、生成したハイパーブランチ多糖(poly-4)の粘度特性を比較した。粘度検出器付きSECで測定した各ポリマーの固有粘度はpoly-1で5.9~8.0mL・g^<-1>、poly-2で5.4~6.1mL・g^<-1>、poly-3で9.3~9.7mL・g^<-1>であった。絶対分子量と固有粘度の関係であるMark-HouWink-Sakuradaプロットの傾きから算出したpoly-1およびpoly-2の係数αはそれぞれ0.02~0.25、および0.03~0.26と小さな値を示したことから、これらのポリマーは水溶液中において絡み合いの少ない球状構造をとることが示唆された。一方、poly-3のα値は0.47-049であり、poly-3は分岐の少ない構造を有していると考えられる。poly-1およびpoly-2水溶液(25wt%、25℃)の潤滑特性を定常流粘度測定により評価した結果、ズリ速度120~1500s^<-1>の範囲で共にニュートン流体の特性を示し、poly-1の粘度が0.115Pa・s(Mw:14600)、poly-2が0.05~0.08Pa・s(Mw:15900~25000)と低粘性を示した。同様に、無水糖4から得られたハイパーブランチ多糖poly-4の定常流粘度測定により、poly-4もニュートン流体の特性を示すことが明らかとなり、その粘度は0.04Pa・s(Mw:18800、40wt%、25℃)と低粘性を示した。
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Biomacromolecules, dx.doi.org/10.1021/bm2002413.
巻: in press
Journal of Polymer Science, Part A : Polymer Chemistry, DOI:10.1002/pola.24664