研究課題
自然界にはグリコーゲンなどを代表例として多くの分岐高分子が存在しており、その分岐構造の違いがそれらの機能発現に大きく関与している。これまでに我々はこのような分岐高分子を模倣した高分子合成について、環状無水物のカチオン開環マルチブランチング重合が有用であることを報告している。得られた高分子は多くの分岐構造を有するハイパーブランチポリマーで有り、その特異的な構造から高水溶性や低粘性を有している。本年度はグルシドールのカチオン開環マルチブランチング重合から得られたハイパーブランチポリグリセロールと種々の構造を有する星型ポリメタクリル酸メチル、星型ポリスチレン、星型ポリエポキシドを精密合成し、化学構造と粘度の関係を比較した。また、rod-coil型ブロック共重合体を作成し、同様に比較した。グルシドールのカチオン開環マルチブランチング重合から得られたハイパーブランチポリグリセロールは高い水溶性と低粘性性を示し、既存の水溶性潤滑剤で見られる白濁化も起こらないことから、実用化に有用であった。精密重合法で得られた種々の星型ポリマーの粘性は同一分子量であれば分岐数が多いほど低粘性を示した。ポリイソシアネートとPNIPAMからなるrod-coil型ブロック共重合体で化学構造と粘度の関係を比較した結果、coil部分が増加しても粘性はあまり増加せず、粘性の発現はrod部分が主たる原因になっている事を明らかとした。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
Polym. J
巻: 45 (2) ページ: 216-225
DOI:10.1038/pj.2012.100
Macromolecules
巻: 45(9) ページ: 3677-3686
DOI:10.1021/ma300555v
J. Polym. Sci., Part A Polym. Chem.
巻: 50 ページ: 3277-3285
10.1002/pola.26123