研究課題
ナノマトリックス構造を有するゴムが特異的に優れた力学物性を示す原因を解明することを目的とする。グレイン・バウンダリーが存在するため、ブロック共重合体やグラフト共重合体を用いて期待通りの物性を発現させることは困難であったゴムに関して、従来とは異なる新しいナノ相分離構造(ナノマトリックス構造)を形成することにより、力学物性に優れるゴムを新規に作製するための基礎を築く。具体的には、加硫せずに加硫ゴムと同程度の力学物性を示すゴムを作ることを目標として、天然ゴム粒子の間に化学結合は無いにもかかわらず、天然ゴム粒子を凝集し、ナノマトリックス構造を形成することによって破断時応力の値が加硫ゴムと同程度に高くなった原因の少なくとも一つを解明することを目指す。ナノ相分離構造を精密制御することにより試料を調製し、キャラクタリゼーションを精緻に行った。モルフォロジーは、透過型電子顕微鏡(TEM)および集束イオンビーム・走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いて観察した。その結果、これまで連続相と考えられていたナノマトリックスは、直径5nmのポリスチレンが5nmの間隔で規則正しく分散していることが明らかになった。力学物性は、ナノマトリックスが不連続であるにもかかわらず、天然ゴムと比較して約15倍優れていることが明らかとなった。
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