ナノマトリックス構造を有するゴムが特異的に優れた力学物性を示す原因を解明するため、集束イオンビーム・走査型電子顕微鏡および透過型電子線トモグラフィー法によりナノマトリックス構造を精緻に観察した。ナノマトリックスの中に直径数~数10nmのナノ粒子が数nmの間隔で密に充填されている場合,破断応力の値は約10倍となり、貯蔵弾性率は10~100倍に増加し、損失正接は周波数に依存しなくなることを見出した。これらの物性はナノマトリックスを連続相にすることにより激減したことから、ナノマトリックスの中にナノ粒子を数nmの間隔で密に充填することが力学物性に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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