研究課題
陽イオンあるいは陰イオン基を末端に有するシランカップリング剤を用いて、半円筒型石英プリズムの平坦部分に、混合自己組織化単分子膜(SAM)を構築した。得られたSAMと液体水との界面における水分子の配向を、和周波発生分光法(SFG)により観察した。混合SAMの組成が「電荷中和」を満たす条件では、水分子の配向が最も小さくなることが判明した。さらに、そのSAMへの非特異的なタンパク質の吸着や細胞の接着が最も抑制されていた。このことは、双性イオン型あるいは正負混合型などの「電荷中和」された材料表面では水分子が強く配向していないことが、当該材料の生体適合性の駆動力であること明確に示していた。しかしながら、細胞接着の抑制は、これまでに観測された双性イオン型単量体を含む共重合体膜や、ブラシ(グラフト鎖)系に比べると、かなり小さいものであった。このことは、基板の硬さが、細胞接着に大きな影響を与えていることを示しており、柔らかな高分子が医用材料と優れている理由の一つであることが強く示唆された。上述のように、固体基板上に構築した双性イオン型の単量体からなるブラシ(グラフト鎖)は、非特異的なタンパク質の吸着や細胞の接着を強く抑制することが知られている。そこで、基板直近の部分に芳香環を有する双性イオン型ブラシを可逆的付加解裂連鎖移動重合法により、ガラスやシリコンウエハ上に構築した。得られたブラシはマスキングした後に193 nmのArFを照射すると、5 ミクロン以下の解像度でパターニングができることを、蛍光顕微鏡および原子間力顕微鏡で確認した。芳香環が紫外線照射により破壊され、ブラシが脱離してゆくことが、パターン形成の原因であることが示され、様々な固体材料の表面修飾に有用な手法であることが示された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Colloids Surfaces B: Biointerfaces
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