研究概要 |
「研究目的」 申請者らが独自に構成した生体適合性ナノファイバマトリクスを用いた多能性マイクロ流体システムを構成し、胚性幹細胞(ES cell)及び誘導多能性幹細胞(iPS cell)の分化過程とその方向の制御を目的とする。特に、神経細胞の形成に着目して神経細胞ネットワークの形成試験を行う。さらに、マイクロ流路と集積マイクロ電極アレイを組み合わせて構成した神経細胞ネットワークの動的特性の解析と制御を行い、この神経細胞ネットワークの機能性を確認する。本研究テーマの達成により、神経系バイオマーカ・薬剤の高効率スクリーニング(HTS)テスタのみならず、バイオマシンインタファイスのモデルが提供されると期待できる。 「研究計画及び実積」 平成22年度は、主にマウスES細胞の神経細胞への分化制御を行った。神経細胞の誘導、分化に影響しうる可溶性因子をパターン化された基板上におき、マウスES細胞由来の神経細胞ネットワークを形成させることに成功した(MNE 2010,Microelectron Eng.2011)。 並行して、神経ネットワーク制御を目的として、表面パターン制御、及び、集積マイクロアレイ(MEA)の構築を行った。パターン化されたマイクロ電極デバイスを用いて、動物由来の初代心筋細胞の電気信号を測定することに成功した(MNE 2010,Microelectron Eng.2011)。現在、この条件を基に、神経細胞の電気信号の測定に最適なデバイス作製を試みている。 さらに、申請者らはナノファイバーを用いた幹細胞の未分化状態を制御する新規手法の開発に成功した。引き続き、パターン化されたナノファイバーを用いたES細胞由来の神経細胞ネットワークの形成を検討する。
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