今年度は、両親媒性ブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造中の制限された親水性空間を利用したナノ粒子の空間的制御をさらに高度化するために、ミクロ相分離構造表面の状態解析を行った。さらに直径10 nmのシリンダー状親水性空間を利用した金ナノ粒子の合成に加えてガンマ線検出を目的とした蛍光ナノ粒子の合成を行った。 ミクロ相分離構造をナノ粒子合成の反応場として利用する際に、親水性シリンダー中にナノ粒子の前駆体である各種イオンを導入しなくてはならない。これまで導入条件によってはイオンが反応場となるシリンダー以外の相分離構造表面に拡散し、合成したナノ粒子の空間配置が規則性を持たない、あるいは配列制御に分布を示すことが生じた。ナノ反応場であるシリンダーに選択的なイオンドープが行われると同時に表面にイオンが漏れ出ることで、ナノ粒子配列に乱れや分布が生じたと考えられた。 膜厚保が100nm程度の両親媒性ブロック共重合体薄膜をシリコンウェハー上に作成し、原子間力顕微鏡での観察を温度を室温から-50℃までの温度で行った。その結果、厚さ1~2nm程度の親水性薄膜が相分離構造の最表面に存在することが確認された。ナノ反応場を利用してMnドープZnS蛍光ナノ粒子の配列制御を行った。蛍光発光の空間分解能を向上されるには至らなかったが、蛍光ナノ粒子の合成に成功した。
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