研究課題/領域番号 |
22360002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
手束 展規 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40323076)
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研究分担者 |
斉藤 好昭 東芝・研究開発センター, 研究主幹 (80393859)
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キーワード | スピン注入 / ホイスラー合金 / Si半導体 / ハンル効果 / エピタキシャル |
研究概要 |
Si半導体中へ高効率なスピン注入を実現するために、高スピン分極率スピン注入源作製条件の検討、スピン注入素子作製条件の検討、ならびに、Si半導体を介したスピン信号の検出を試みた。 Si(100)上に高い規則度を有するCo 2Fe(Al,Si)ホイスラー合金の作製を試みた。構造解析はXRD、RHEED、断面TEMで行った。まず、Si基板にMgOスパッタし、その後、Co 2Fe(Al,Si)をスパッタした試料では、400℃で1時間のポストアニールを行うことでB2構造へ規則化した(001)配向膜を得られることが明らかとなった。また、EB蒸着法を用いることでSi(100)上に(001)配向したMgOエピタキシャル成長させることに成功し、MgO上にCo 2Fe(Al,Si) (001)配向膜を作製することに成功した。300℃以上の基板加熱を行った試料において、B2構造の規則度を有することが明らかになった。 また、昨年確立した素子作製プロセスを用いて、CoFe強磁性電極を用いたデバイスを作製し、ホール効果を用いたキャリア濃度測定、非局所信号測定、局所信号測定、3 端子H a n l e測定、4 端子Ha n l e測定を行った。 3端子Hanle測定においては、n+-Si/Al0 x/ CoFe、n+-Si/ MgO/ CoFe試料において室温までスピン信号を観測することに成功した。3端子Hanle測定で得られた室温でのスピン注入効率P=0.47,スピン緩和時間τ=1.4nsecと良好な値であることが明らかになった。また、n+-Si/ MgO/ CoFe試料においては強磁性電極間距離が2μmと長いにもかかわらず、77Kではあるが、非局所スピン信号、局所スピン信号の観測にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Si基板上に高い規則度を有するCo 2Fe(Al,Si)を成膜することに成功している。また、半導体上にMgO絶縁体をエピタキシャルで成長させることにも成功しており、半導体に高効率でスピン注入を実現するための条件がほぼ確立したと考えられる。 また、素子の構造解析、スピン信号の検出、など研究の根幹にかかわる実験技術も確立したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策) 今年度得られた成果をもとに、素子を作製し、Si半導体中へのスピンの注入、検出を引き続き行う。 (次年度の研究費の使用計画) 素子作製のための強磁性電極材料ターゲット、半導体基板、微細加工用の薬品等の消耗品の購入や成果報告のための論文投稿費、学会参加費などに主にもちいる。
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