研究概要 |
Co2Fe(Al,Si)ホイスラー合金(以下CFASと略す)からSi半導体へのスピン注入を目指し実験を行った。CFAS/MgO/n-SiおよびCFAS/MgO/Mg/n-Si接合を作製した。成膜方法や接合の構造、熱処理条件が電気伝導特性やスピン注入に与える影響について調査した。 スパッタ装置で作製したCFAS/MgO/n-Si接合では熱処理温度300℃で抵抗値が増加した。一方、CFAS/MgO/Mg/n-Si接合では300℃での熱処理を行っても抵抗値はほぼ一定であった。Mg層の挿入がSi基板表面における酸化の進行を防いだ結果であると考えられる。Si基板との界面にMgO層およびMg/MgO層を挿入したCFAS薄膜においては、B2規則構造に結晶化した。TEM観察の結果から、MgOはアモルファス、CFASはB2構造の多結晶であった。 MBEを用いて作製したSi基板との界面にMg/MgO層を挿入したCFAS薄膜においては、(001)配向したMg/MgO/CFAS多層膜を作製することができた。この条件で作製したCFAS/MgO/Mg/n-Si接合において、300 Kでスピン注入0.93を得た。 また、Si(100)/MgO(100)/ホイスラ合金CFAS(100)エピタキシャル成長技術を用いて、CFAS(100)/MgO(100) 強磁性電極を用いたデバイスを作製し、ホール効果を用いたキャリア濃度測定、非局所信号測定、局所信号測定、3 端子H a n l e測定を行った。3端子Hanle測定、非局所信号測定、局所信号測定においては、室温までスピン信号を観測することに成功した。 CFASからSi中へのスピン注入の検出に成功し、本課題の最終目標を達成した。
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