研究課題/領域番号 |
22360003
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
酒井 政道 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40192588)
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研究分担者 |
本多 善太郎 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (30332563)
長谷川 繁彦 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50189528)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | ローレンツ力 / 正常ホール効果 / 異常ホール効果 / 両極性伝導体 / スピン流 / スピントロニクス / 希土類金属 / 水素 |
研究概要 |
擬ゼロホール係数特性を有するYH2では、ホール効果における横電流に正味の電荷輸送が発生しない。この性質を純スピン流生成に応用するのが狙いであるが、そのためには、ホール素子を流れるバイアス電流がスピン偏極している必要があり、効果的なスピン注入が必要である。本年度では、(A)YH2におけるYの1部を磁性元素Gdに置換したGdxY1-xH2(x=0.4)をホール素子の電流チャネル領域に使用する計画と、(B)チャネル領域は非磁性体であるYH2にしたまま、チャネル長を約10μmと短くした上で、ソース電極として強磁性体を用いるという2種類の計画の下、チャネル流域へのスピン注入が可能かどうかをホール及び横磁気抵抗測定によって調査した。測定には、最大 5 Tまでの磁場を膜面に対して垂直に印加し、0.1~1 mA, 10 Hzの交流電流を試料に供給し、電流経路と交差する電極間の電位差を計測する事で行った。ホール素子Aの測定は4~400 Kの温度範囲にて行い、ホール素子Bは室温で行った。ホール素子AとBに共通して観測された事は、ローレンツ力だけでは説明が困難な大きなホール抵抗及び正の横磁気抵抗が観測される点である。この点を理解する為に、ローレンツ力及びスピン-軌道相互作用を同時に考慮した上で、アップおよびダウンスピンのキャリヤが独立に電気伝導に寄与するという二流体モデルを用い、そのキャリヤとして、電子と正孔の両方を考慮することによって、ホール抵抗と横磁気抵抗を磁場の関数として計算した。計算と実験との比較から、ホール素子AとB共にキャリヤスピン偏極率が約80%のときに測定結果を説明できることが分かった。このように、計画Aと計画Bで観測された磁気伝導特性は、電子と正孔が共に高スピン偏極した両極性伝導モデルで説明可能であり、このことはホール効果によって、純スピン流が十分生成可能であることを意味する。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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