研究課題
自己形成量子ドット・量子細線などナノ構造のエピタキシャル成長において、構造の均一化は重要な課題である。本研究は、同じ成長条件下にありながら、個々のナノ構造間にゆらぎが生じる原因を解明するため、単一の量子ドット・単一のナノワイヤのエピタキシャル成長条件下におけるその場X線回折をおこなうことを最終的な目的としている。そのために本年度は、研究の必須要素であるX線マイクロビーム装置を新規に設計・製作した。X線の理論的な集光性能とともに、現実的な製作の可能性および現有設備である分子線エピタキシー(MBE)/X線回折複合装置との組み合わせの可能性を検討した結果をふまえ、キノホルム型ゾーンプレートの製作をおこなった。同時に、集光光学系をX線回折計と同期して制御するためのソフトウェアを開発・整備した。また、仮想光源として用いるピンホールを製作し、ビームライン上に設置した。X線の集光性能の評価のために、分子線エピタキシー真空槽内の試料位置に設置できる治具を設計・製作した。X線集光システムの構築にあたり重要な振動対策として、X線集光光学系を設置するための光学定盤を新規に制作した。X線マイクロビーム装置の製作と並行して、試料となる半導体ナノ構造の成長の条件探索をおこなった。GaAs基板上で、金微粒子を触媒としたGaAs量子細線の成長をおこない、走査型電子顕微鏡によって、量子細線の成長を確認した。Si基板上でも、Inの自己触媒作用によるInAs量子細線の成長を確認した。放射光X線回折でInAs/GaAs量子ドットを、SK成長による自己形成法で作製し、その平均構造を放射光X線回折で評価した。その過程で、量子ドットを成長温度から急冷したときの三次元構造の変化を見出した。以上により、測定装置および試料作製の両面において、単一量子構造のその場X線回折を実施する環境がほぼ整備された。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 50 ページ: 04DH06-1-04DH06-5