研究概要 |
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は, 生体適合性がありバイオテクノロジーおよび微小化学分析器に不可欠な構造材である。本研究では, レーザー生成プラズマを用いた狭帯域・高パワー密度軟X線源を開発した。これを用いてPDMSに軟X線を照射し, 励起準位を制御した高密度励起を行った。この軟X線照射によるPDMSの加工について研究を行った。まず, 真空紫外から軟X線の領域までの広い範囲で得られるプラズマ輻射光をPDMSに照射した. ある閾値以上のプラズマ光を照射したところ, 直径が1μmの穴開けなど精密なアブレーション加工が可能であることを明かにした。また, 閾値近傍では, PDMSのメーカーおよびロットにより隆起が起きる場合があり, 加工には向かないことを示した。また, Si 2s 内殻励起が可能な11 nmのプラズマ光と, 比較のため 13 nm にピークを持つプラズマ光を照射した。 ここで用いた3種類の光源の範囲では, 波長によるアブレーション特性の相異は認められず, 照射パワー密度によってアブレーション深さが決まっていることを明かにした。さらに, 光電子分光により分析したところ, 照射前後で表面の化学的構造が変化することなくアブレーション加工を実現てきることが明らかとなった。以上の研究により, 従来法では困難であった 1μmから1mmの長さの領域においてPDMSを加工する軟X線微細加工法を確立した。
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