Bi/Ag(111)√3x√3表面の電子状態を走査トンネル顕微鏡(STM)を用いたdIdV像および走査トンネル分光法(STS)により調べた。この結果STSスペクトルにおけるピーク構造の解析からこの表面電子バンドはスピン分裂していることが確認された。またそのスピン分裂した表面バンド電子は、ステップでの散乱においては同じスピン分極を持ったバンド内遷移を引き起こすことによって準粒子干渉が可能となり、dI/dV像中に電子定在波パターンが現れること、またその波長のエネルギー依存性から、2本のスピン分裂したバンドを平均した分散関係が得られることが明らかになった。さらに、この表面における電子の寿命や、Ag成長におけるBi原子のサーファクタント効果、Bi原子被覆率が高い場合に現れる新規な表面構造についても新たな知見が得られた。
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