研究課題/領域番号 |
22360020
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
中村 淳 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (50277836)
|
研究分担者 |
大竹 晃浩 物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, 主幹研究員 (30267398)
|
キーワード | Mn原子ワイヤ / GaAs表面 / 初期吸着構造 / 第一原理計算 / 電子回折法 / 走査トンネル顕微鏡 / 強磁性 |
研究概要 |
本研究は、化合物半導体であり希薄磁性半導体のホスト材料として最も注目・利用されているGaAsに、低次元のMnドープ構造を導入することにより新奇強磁性物質を創製するとともに、理論計算手法を駆使し、その強磁性発現機構解明を目論むものである。本年度は、昨年度に行ったGaAs(110)表面上のMnワイヤの磁性状態評価に続き、主にGaAs(001)表面上のMn初期吸着構造の解析に取り組んだ。実験的にはMnが1原子層以下の吸着初期過程において、様々な表面再構成構造を呈すうことが明らかになった。特に、0.25原子層のMn膜厚時た現れる(2x2)再構成構造は、蒸着温度、As分子供給の有無によって数種類の構造モデルが確認された。本年度は、これらの表面構造のうち、(2x2)ガンマ構造と名付けた表面再構成構造について、第一原理計算を用いたモデリング・構造安定性評価を行い、この表面構造は基本的に、(2x2)ユニットセル内に(1)一対のGa-Asのダイマー、(2)1個のMn原子が存在する表面であること、また、Mn原子は、ダイマーダイマー間位置が最も安定な吸着位置であることがわかった。この表面構造について、電子状態計算を行ったところ、Mh原子のコアスピン数は5であり、(110)表面上のMnあるいはバルクGaAs中のMn原子とは異なるスピン状態をとることが明らかになった。今後こうした(100)表面において独特のMn-GaAs相互作用を呈する物理的な起源について探って行く。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に行ったMn吸着構造の観察を受けて、本年度は電子状態理論により、その構造モデルの解析を行った。またその表面の電子状態解析、スピン状態解析が進んだ。当初予定していた、(110)表面と(100)表面の構造・電子状態の違いについて明らかにした。
|
今後の研究の推進方策 |
現在まで、順調に研究が進んでいる。残されている課題は、電子状態の表面方位依存性の起源を明らかにすること、Mn吸着量を変化させることに伴う、表面構造・電子状態・スピン状態の変化の仕方とその起源を、実験・理論の共同作業により明らかにすることである。
|