研究概要 |
表面プラズモンを極微領域に局所励起し,その場の屈折率変化を高感度に捉える装置の試作を行った.試作装置では,放射状偏光させたレーザー光を,NA=1.65の油浸対物レンズを用いて,円形瞳照明法により,金薄膜を真空蒸着したカバーガラスに集光する.そして,その反射光を対物レンズの瞳面と光学的に共役な位置に置いたCCDで観察する.CCDで記録される画像には表面プラズモンの励起による光吸収が環状に観察されるので,その半径より基板表面の局所的な屈折率を求める.カバーガラスの表面は,テフロン製もしくはPDMS製のマイクロフローセルでカバーされており,微量な溶液を基板表面に供給することができる.マイクロフローセルに,アビジンを含む緩衝溶液を導入し,緩衝溶液でリンスした後,ビオチン化モノクロナール抗体を含む緩衝溶液を導入し,緩衝溶液でリンスすることで,特定のウイルスだけを結合させる基板が得られる. この基板に対し,ホルマリン処理により無毒化したH1N1インフルエンザを導入し,基板表面の有効屈折率を測定した.その結果,装置の検出限界を十分に上回る屈折率増大を確認することに成功した. この他,輪帯瞳照明を行って表面プラズモンを局所励起した際に,基板表面に生じる電場分布をFDTD法によって計算するプログラムを作製し,表面プラズモンの電場増強作用をシミュレートできることを確認した.
|